うりログ

日記歴20年アラサーOL、ついにブログを始める。

丁寧にシンプルに生きる

とうとう令和の時代を迎えました。

皆さん、この連休をいかがお過ごしでしょうか。

私は大切な人たちと過ごす心温まる連休になりそうです。そして、読みたい本を何冊か用意していたので、読書時間もたっぷりと。

 

その中で、一生の友となるような本と出会ったのでご紹介。

『簡素な生き方 La vie simple』という1895年にフランスの牧師シャルル・ヴァグネルが書いた作品。今から120年も前に書かれているのに色あせることなく、現代においても人生のヒントになるような言葉が散りばめられている。中でも題名の通り“シンプルに生きる”ことは、自分の人生の一つのテーマであり、共感する部分が多くあった。

 

“シンプル”を意識したのは30歳。中学時代からの親友とお互いの30歳を記念してプレゼント交換をした時のこと。とてもすっきりとした形で品のあるシルバーのペンをもらった。「うりは、とってもシンプルだからこれを選んだの」と言われ、その言葉にハッとしたことを覚えている。私は、大抵服装はシンプル、持ち物も最低限、部屋もさっぱり、好みや考え方も割と明確であるが、シンプルさを大切に生きていたことは、自分自身で意識はしていなかった。なので、ふわっとしていた大切な価値観を言葉に落とし込んでもらったような感覚を覚え、とても印象に残る出来事になった。

 

この本は、簡素に生きることの大切さを説いていて、頷けるフレーズが沢山あった。特に印象的であったのが、「毎日の生活には、これまで知らなかった美しさや魅力やくつろいだ満足感が隠されている。自分自身でいること、自分がいる本来の環境に固有の美しさを実現することが理想です」という一節。モノや情報に溢れた社会の中で、増えれば増えるだけ幸せになるかというと、そうでもない気がしている。大切な人とゆったりとした会話の時間を取る、心をこめて家事をする、そういう素朴なことに喜びを感じる心を持つことで、幸せになる能力が磨かれ、人生が豊かになっていくのではないかと思う。ヴァグネルは「絵を描くためには才能がいるのと同じように、楽しむためには幸せになる能力が必要」とも言っていて、簡素な生き方を心掛けることが、心から楽しめる人生に繋がっていくと伝えている。それは、節約をしろ、質素に生きろ、という物質的な制限を意味しているのではなく、自分自身が何であるかを問い、人との関わりを大切にした上で、自分自身の人生を持つことの重要性を意味している。

 

AIやIoT等の研究開発が急速に進み、私たちを取り巻く環境が目まぐるしく変化する時代において、何を選択していくかという個人の価値観が今後さらに大切になってくると感じる。もちろん情報リテラシーの向上を目的とした一般教育の強化も必要であるが、ヴァグネルの言う「自分の方向を決める際の原理原則となる「心の掟」を持つ」ために、自分・他者・社会を考える道徳教育の重要性も高まってくると思う。何歳になっても自分を知ることは難しい部分があるけれど、簡素な生き方に立ち返ると、余計なものがそぎ落とされ、自分や周りの人にとって大切なものが見えてくることがあると思う。迷いがある時には、毎日の生活を丁寧にシンプルに生きてみたら、何かヒントをもらえるかもしれない、そんなことを考えさせられる作品であった。

 

では、今回はこのへんで。

南アフリカケープタウン、自然のシンプルな美しさに感動した写真を)

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