うりログ

日記歴20年アラサーOL、ついにブログを始める。

やりきってみる ~チンパンジーを探して~

どうも、うりです。

私は仕事で一年間南アフリカに駐在していたことがあり、その時のエピソードも今後少しずつ書いていきたいと思う。アフリカと言えば、まず思い描くのが、ライオンやゾウといった動物や大自然のイメージだろうか。南アフリカはアフリカ大陸の中で最も発展しており、英国の植民地であったことも影響し、都市の中心はヨーロッパのような街並みをしている。都会から車を30分も走らせれば、緑豊かな景色も広がり、温暖な気候で本当に自然豊かで素晴らしい国である。一方で、アパルトヘイト政策の歴史や治安の悪さ等、マイナスイメージもあり、課題があるのも事実である。その辺はまた今度として、今回はやりきってみることの話。

 

南アの首都プレトリアヨハネスブルグは首都ではなく最大の経済都市、首都はプレトリア(行政府)、ケープタウン立法府)、ブルームフォンテン(司法府)の3都市)には、南ア最大規模の国立動物園がある。大きさは約60㎡と広大で(約51㎡の東京ディズニーランドより広い)、動物がのびのび過ごせる空間があり、日本の動物園の動物たちが可哀そうに思えてくるほど。現地の人たちから勧められ、ぜひ行ってみたい場所であった。私のお目当ては“ハイエナ”。動物園でハイエナが見られるなんて貴重というのが理由。

 

南ア在住歴の長いセルビア人の友人Jくんと、いざプレトリア動物園へ。ハイエナを目指し、フラミンゴ、ライオン、サイ…と色々な動物を見ながらとうとうハイエナを発見。動物の骨をバキバキと食べ、ディズニー映画で悪役として出てくるのも納得の異様な雰囲気をまとっていた。園内はとにかく広いので、ハイエナを見つけて大満足。アイスでも食べて帰ろうと考えていたところ、「他に見たいものは?」とJくんに聞かれ、アフリカのサファリではなかなか見られない動物ということで「強いて言うならチンパンジー…」と答えた。「じゃあ、探そう!」と。そこからが長い旅の始まり。

 

園内マップはざっくりで、全部の道が書いてある訳ではなく、表示もおおざっぱ。何となくこっちの方向ということで探してみたが、チンパンジーは見つからない。チンパンジーを探して行ったり来たり、動物園2周分は歩いた(従業員も少なく係員さえ見つけられない)。どうしても見たい訳ではなかったし、何度かもう帰ろうと言ったが、絶対見つかるからと諦めない。最終的には、なぜかJくんの昔からの夢を応援しているかの如く、「頑張って、きっと見つけられるよ!」と励ましていた。そして、漸くチンパンジーの檻を発見。実は公開しておらず立入禁止になっていたのだ。立入禁止ロープがあり、人気のない場所だったので何度か通り過ぎていた。Never give upスイッチの入ったJくんはそのロープを超えて中を確認、チンパンジーのいない檻だけ発見したというのが結末。それでも二人とも何とも言えぬ達成感を感じ、動物園を後にした。

 

Jくんはアラサーの同世代だが、生きることへの必死さ、諦めない気持ちが人一倍ある。今回のチンパンジー探しは一例に過ぎず、仕事でも些細なことでも、やると決めたらやる、諦めないのが彼のスタイル。今回のような小さな達成感も含め、諦めないことで成し得た経験を積み重ねているせいか、自分に自信を持って生きている。だからこそ、友人グループの中でも頼りにされる存在で、仕事でもキャリアアップを実現していた。ある時「そのNever give up精神はどこから来るの?」と聞いたところ「生活の自立も早かったし…あとは戦争を経験しているからかな」と答えた。Jくんの故郷セルビアユーゴスラビア連邦解体の過程で1990年代に紛争が起きていた。あまり多くは語らなかったが、小さい頃木登りをしていたら、空爆のサイレンが鳴り、遠くで母親が早く木から下りて!と叫んでおり、「うわ、ヤバい」と思ったのを覚えていると話していた。そのような戦争体験をしているからか、今出来ることは全てやるといった気持ちで、色んな壁にぶつかりながらも一生懸命に毎日を過ごしていた。

 

ここまで人生を大切に生きている人にはなかなか出会ったことがなく、非常に良い刺激をもらった。色々と言い訳を並べてやらない自分、周りに流されて何となく過ごしている自分。そんな自分をすぐに変えることは難しいけれど、私も小さなことからやりきってみようと思った。当時の私は、いつかは挑戦したいと思っていた語学の試験を受けることに決めた。Jくんの生き様に力をもらったおかげか、無事に合格。合格も嬉しかったが、今持っている力を出しきれた自分に喜びを感じていた。

 

同じ時代に生まれても、生まれた環境が違うことで、生きることに必死な人もいる。何かをやりたいと思える環境・チャンスがあることだけでも本当に有難いと改めて感じた。そんな環境に感謝し、動物園でチンパンジーを探す…でも良い、どんな些細なことでも良いから、自分がやると決めたことをやってみる、結果が想像と違ったとしてもやりきってみる。そうした小さな達成感を味わっていくことで、少しずつ自分に自信を持てるようになるのかなと思う。毎日毎日そんな風に生きるのは少し疲れてしまうけれど(これまた言い訳…)、動物を見る時、南アに思いをはせる時、こんなメッセージを思い出せる自分でありたいなと思う。

では、今回はこのへんで。

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